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sketch683

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1月30日
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本物と見間違う贋作を描き続け、やがて逮捕され刑期を終えたジョン・マイアット氏のインタビューを含めたNHKの番組を興味深く見ました。

カメラの前で、奥さんをモデルにピカソ風、モディリアニ風、ジャコメッティ風と、(ほんとうにそれらしく)次々にスケッチするのについ感心してしまいました。

自分の個性を形作る以前に、それぞれの巨匠の人格や絵の成り立ちを理解できる能力が優れていたことと、家族を支えるためにお金が必要だったことで、

飛びぬけて“優れた贋作師”になってしまう運命を背負いました。器用貧乏という言葉が当てはまるのかもしれません。

 

実は他人事とは思えませんでした。以前私のところにも「掛け軸」は描けるか?という電話がかかってきて、その人と個展会場で会ったことがありました。

一見して怪しげな風貌(プロレスラーみたいな体格)の二人組。「こりゃやばい・・」と思いつつ、冷静を装い、とりあえず話を聞きましたが、

(幸いにも)あまりに稚拙な企画の話で、床の間消滅のご時世に掛け軸の市場に未来があるような話をしていたので、丁重にお断りしたことがありました。

あれは(まだ経済にバブルの残滓があり、少しは絵の売れていた時期でもありましたから)、

格安で縁起物などの巨匠風の絵を描かせ、もどき掛け軸を大量に販売すれば商売になると考えていたようです。

もし、あのときの人がもっと商売上手で口車に乗せられていたらどうなっていたのだろう?そんなことを思い出してしまう番組でした。